喉にもいい、トマト
梅雨も明け、いよいよ夏本番。暑い日や熱帯夜が続くと、疲労感やだるさを感じたり、食欲不振、不眠などの症状があらわれます。暑さの厳しい時は、夏野菜で体の中の熱を冷ましましょう。今日は、夏野菜の中でも「トマト」について見ていきたいと思います。
トマトの栄養成分と効用
「トマトが赤くなれば医者が青くなる」という諺がある通り、トマトには多くの健康効果が見られます。まずはその栄養成分と効用を見てみましょう。
特に豊富な成分は、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどのビタミン群です。
太陽の光で真っ赤に熟した露地栽培のトマトにはビタミンCが多く、β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンEなどほかの抗酸化ビタミンも含まれます。
1
また、トマトの赤い色は、色素成分のリコピンによるもので、カロテノイドの一種です。カロテノイドは、黄色やオレンジ、赤色などの色素成分で、ニンジンやかぼちゃに多く含まれるβ-カロテンが代表的です。トマトには、リコピンとβ-カロテンが豊富に含まれています。
リコピンはカロテノイドの一種で、ビタミンAの効力はありませんが、β-カロテン以上の抗酸化力があるとされ、近年はがんや動脈硬化に高い予防効果をもつことが報告されています。
2
さらに、葉酸やカリウムが豊富であるほか、トマトの酸味のもととなるクエン酸は、殺菌作用や抗酸化作用に優れています。
薬膳の視点から見ると、トマトには次のような効果があります。
胃腸の働きを活発にして消化を高める。体液を補い、ミネラル補給にも。体を冷やす性質。
3
このように、トマトにはたくさんの栄養成分とその効用はがあることがわかります。普段から積極的に頂きたい食材ですね。
もちろん、喉にもいい食材です!
ここまで見て来て、きっと、喉にもいいことは想像がつきますが、どのような点がいいのか、改めて見てみましょう。
注目したいのはビタミンAです。前章で、トマトはβ-カロテンを豊富に含むと書きましたが、β-カロテンは体内に吸収されると、ビタミンAに変わります。ビタミンAは、皮膚や粘膜、免疫機能を正常に保つ役割があり、喉や鼻、肺などの健康維持には欠かせません。
また、ビタミンCは、ストレスや風邪に対する抵抗力を強めてくれます。大きな声で歌うことによる喉へのストレス、また、大きな口をあけて呼吸し無防備になっている喉を守るため、ビタミンCは欠かせません。
さらには、歌った後のほてった喉を冷やすのにも効果があります。
トマトを使ったレシピ
トマトは、生で食べても加熱して食べてもおいしく、レシピもたくさん紹介されていますが、夏は冷たいトマトが食べたくなりますよね。そこで、次の二つのレシピを紹介します。
冷しトマトおでん(2人分)
朝、作ってしっかり冷して食べるのがオススメです。冬のおでんのように大根やゆで卵も相性いいですよ。
<材料>
- トマト・・・2個
- オクラ・・・2本
- ☆だし汁・・・
- ☆しょうゆ・・・大さじ1
- ☆みりん・・・大さじ1
- ☆砂糖・・・小さじ2
- ☆塩・・・少々
- トマトはヘタをくりぬき、皮を湯むきしておく。
- ☆を鍋に入れ、煮立たせ、火から下ろす。
- ➊を➋に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして、できあがり。
トマトと豆腐のサラダ(2人分)
β-カロテンとリコピンは油に溶ける特性を持っているので、オリーブオイルと一緒に食べることで体内での吸収率を高めてくれます。また、ブロッコリーにはケルセチンというポリフェノールが多く含まれており、ビタミンCの体内活性を高めてくれます。味付けはオリーブオイルと塩だけのシンプルなサラダです。
<材料>
- トマト・・・2個
- 豆腐(木綿)・・・150グラム
- ブロッコリー・・・100グラム
- オリーブオイル・・・大さじ1
- 塩・・・小さじ1/2
- 豆腐は水抜きしておく。
- ブロッコリーは小房にわけ、茹でる。
- トマトは一口大に切る。
- ボールに、➊➋➌を入れ、オリーブオイル、塩を入れ、ひと混ぜして、できあがり。
今日は、トマトについて見てきました。体の過剰な熱を冷まし、水分とでミネラル分を補ってくれる、暑い時期にはぴったりの食材が、ちゃんと夏に旬を迎えることに一種の感動を覚えます。旬の食材をおいしくいただき、歌うための身体を整えていきましょう。
<参考文献>
- 「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典」(吉田企世子監修)
- 「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典」(吉田企世子監修)
- 「二十四節気のお味噌汁」(山田奈美著)
- 前東京女子医科大学 主任教授 玉置 淳「のど・はなのお悩み解決サイトで、健康を応援」