LaCoppiaMusica ラ・コッピア・ムジカ
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緩めておこう、僧帽筋

前回のコラムで、大胸筋と小胸筋について書きました。今日は、その背中側にある大きな筋肉、僧帽筋についてお話ししたいと思います。僧帽筋も、大胸筋や小胸筋と同じく、歌う前に緩めておきたい筋肉です。

僧帽筋ってどんな筋肉?

僧帽筋は、背中側の表層に位置する大きな筋肉です。肩甲骨の動きに関与し、腕を持ち上げる動作の補助をします。補助とはいえ、僧帽筋は非常に力強く、上肢全体の重さを支える重要な役割を果たしています。


僧帽筋の一番上は後頭骨、一番下は第12胸椎にまで及び、さらに鎖骨や肩甲骨の肩峰・肩甲棘にまで広がっています。

「僧帽筋の動きは首だけでなく、肩甲骨や体幹にも関わるため、疲労しやすく、こりやすい特徴があります。

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僧帽筋の位置を手でなぞってみると、改めてその大きさに気づきます。そして、肩こりや背中の張りは僧帽筋の疲労だったのだとわかると思います。

歌とどんな関係がある?

では、歌うこととはどんな関係があるのでしょう?


僧帽筋は、特に呼吸に直接関与しているわけではありませんが、第12胸椎に付着していることから、個人的には凝り固まっていると呼吸に影響を及ぼすのではないかと感じています。


第12胸椎には大腰筋が、第12肋骨には横隔膜、腰方形筋といった呼吸や腹圧に関わる筋肉がついています。さらに、広背筋も第12胸椎についていて、広背筋の上に僧帽筋が覆いかぶさっています。


また、肩甲骨には、呼吸や発声に関係する筋肉も付着しているので、肩甲骨の位置を安定させる役割のある僧帽筋は凝っていると、間接的に、歌うことに影響を及ぼす、と想像できると思います。


また、僧帽筋は、ストレスを受けやすい筋肉ともいわれています。長時間のデスクワークやスマホの使い過ぎによるストレスだけでなく、緊張によるストレスの影響も受けます。過度の緊張をしたときに、肩や肩甲骨の周りがキューっ締まってくるような経験をした方も少なくないのではないでしょうか?そうなると、息苦しく感じたり、急に声がでにくくなりますよね。


僧帽筋は、歌うときに使うわけではないので、鍛える必要はないと思います。でも、すでに凝ってしまっている人は、積極的にストレッチや運動をして、ほぐしてあげたい筋肉です。


では、次章で、簡単なストレッチ方法と運動を紹介しましょう。

僧帽筋の緩め方

僧帽筋ストレッチ

首筋の僧帽筋をストレッチします。

  1. 右手を後ろに回し腰に置く。左手を頭部の右側(右耳の上あたり)に添える。
  2. 左手の重みで頭部を左前方に倒すように引き、心地よい場所でストレッチする。
  3. 反対側も同様に行う。 ※ 上体が一緒に倒れないように注意しましょう。

肘回し

肩甲骨周りの筋肉を動かすことで、僧帽筋の凝りもほぐしていきます。

  1. 右手を後ろに回し腰に置く。左手は左の肩に添える。
  2. 肘で円を描くようにゆっくり回す。
  3. 反対側も同様に行う。 ※ 肩甲骨が動いていることを意識しましょう。

今日は僧帽筋について書いてみました。大胸筋や小胸筋と同じく、歌う前に緩めておきたい筋肉です。このように使うわけではなく、鍛えるわけでもなく、ただ緩めておきたい筋肉というのが、他にもたくさんあります。それらの筋肉を緩めることで、楽に歌えるようになっていきます。少しずつまとめていきますので、日々、体を整え、楽に歌える体を作っていきましょう。

<参考文献>

  1. 「セラピストがよくわかる魔法の教科書 解剖生理&ストレッチマスター」(上原健志著)
  2. 「学び始めに最適!!筋肉のしくみ・はたらきゆるっと事典」(坂井建雄著)
  3. 「うまく歌える「からだ」のつかいかた」(川井弘子著)